1.戦略上位概念の確認
■戦略上位概念とは
戦略上位概念とは、「当社は何のための存在するのか」、「目指しているものは何か」、「それを達成するため何をするのか」という経営の基本となる考え方のことで、一般的に以下の4つの要素で表されます。
@企業理念
Aコア・コンピタンス
B事業ドメイン
Cビジョン(将来像)
■戦略上位概念と中期経営計画
これらの戦略上位概念を実現するための具体的計画が中期経営計画です。よって、中期経営計画策定に際しては、上記4要素が明確になっていることが不可欠です。以下に戦略上位概念4要素の簡単な解説を記載してありますが、詳細および策定方法については以下のページを参照してください。
・経営戦略策定マニュアル
また、上場企業の4要素のデータについては以下のページを参照してください。
・上場企業経営戦略データベース
@企業理念
企業理念とは、会社におけるあらゆる意思決定や行動の基準となる価値観を示すものです。一般的に以下の3つの要素が必要と言われています。
企業理念の3要素
・当社が世の中に存在する意義
・当社の重要な経営方針
・当社社員の行動規範(行動の基本となる考え方)
企業の社会性や倫理観が大きく問われるようになった昨今、企業理念の重要性は一段と高まっています。
Aコア・コンピタンス
コア・コンピタンスとは、顧客に自社ならではの利益(価値)をもたらすことのできる、他社が簡単にマネできないような独自の技術、スキル、ノウハウの組み合わせで構築される中核となる競争能力のことです。コア・コンピタンスは以下の要件を満たすことが必要になります。
コア・コンピタンスの要件
・競争相手にマネされにくい
・顧客価値(顧客が認める価値)を創出する
・展開力がある
B事業ドメイン
事業ドメインとは事業活動を行う領域のことです。企業に事業ドメインが必要な理由は、活動する事業分野を規定することで無謀な多角化を抑制し、事業展開の方向を指示することで経営資源と社員のベクトルを同じ方向へ集中させることにあります。
NECがC&C(コンピュータとコミュニケ−ション)を事業ドメインとしたことで、従来の通信事業からコンピュータや半導体事業へ進出し成功したことは有名です。
なお、事業ドメインは広すぎても狭すぎてもダメです。また、現在の事業だけではなく、将来(3年〜5年後)の事業展開の方向性も示さなければいけません。
よい事業ドメインの要件
・適度な広がりを持っていること(広すぎず、狭すぎず)
・将来の事業展開の方向を視野に入れたものであること
Cビジョン(将来像)とは
・ビジョンとは
ビジョンとは、企業が目指す「将来の姿」のことです。将来が何年後なのかは自由に決めればよいのですが企業を取り巻く環境の変化が激しい昨今、10年以上先のビジョンを策定しても実現可能性が乏しくなります。なので、最近ではほとんどの企業が3〜5年後、長くても10年後のビジョンを策定するようになっています。
・ビジョンに必要な要素
ビジョンは将来の姿なので何をどう表現しても自由ですが戦略策定上は「定性目標」と「定量目標」を示すことが必要です。
定性目標とは市場におけるポジションや対外イメージなど数値化できない目標で、定量目標とは売上高、利益率、市場シェアなど数値化できる目標をいいます。
また、ビジョンは企業の価値観を投影していることが必要なので企業理念と適合していなくてはいけません。さらにコア・コンピタンス(ビジョンの実現にコア・コンピタンスが活用できるか?)や事業ドメイン(事業ドメインから外れていないか?)とも整合していることが必要です。
■スポンサーリンク