次にWACCの計算をします。上場企業と未上場企業にわけて説明します・・・
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− DCF法による企業価値の計算 その2 − |
「DCF法による起業価値の計算」の内容をPDFにしたものを、ナレッジアーカイブより無料でダウンロードできます。
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WACC= |
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D | |||||
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× | ●rD(1−T) | |||
D+E | |||||
E | |||||
+ |
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× | ●rE | ||
D+E | |||||
● | ● |
rE = rF + β(rM − rF)
rF : リスクフリーレート リスクフリーレートとは、リスクがゼロあるいは最小の投資対象の利回りのことです。一般的には10年物の国債の利回りを使用します。実務的には過去5年から10年の平均値を使用することが多いようです。データはこちらで入手できます。 β : 株式のベータ値 株式のベータ値とは、株式市場全体と個別株式の感応度のことです。ある一定期間、株式市場全体の収益率が「1」動いたときに、個別株の収益率はどれくらい動くかを示す数値です。 例えば株式のベータ値が1.0ならば市場とまったく同じ動きをすることを意味します。1.2ならば、市場全体が10%上昇すれば株式は12%上昇し、市場が20%下落すれば24%下落することを意味します。 なお、株式市場全体の収益率とは、株式市場の全銘柄に投資した場合の収益率のことですが、実務的には東証TOIXの収益利率で代用します。自社株式のベータ値の求め方は後述します。 rM : 株式市場全体の期待収益率 株式市場の全銘柄に投資した場合の期待収益率です。実務的には東証TOPIXの期待収益利率で代用します。ただし、期待収益率の求め方に決まった方法はありません。例えば過去のTOPIXの収益率(こちらで入手できます)から類推する方法や日本企業の配当性向と配当割引モデルから推計する方法などがありますが、考え方によって結果が変ってしまいます。一般的には4〜7%に設定します。 ※株式のベータ値の求め方
自社や個別株式のベータ値を求めるには以下の方法があります。ただし、いずれも算出方法(期間および日次、週次、月次のいずれで計算するか)によって値が大きく変るので注意してください。 ・第三者が計算したベータ値を利用する ・自分で計算する @第三者が計算したベータ値を利用する 【無料で入手する方法】 ・MSNマネー (企業情のサマリー内の基本情報) ・ブルームバーグ(対指数ベータ) 【有料で入手する方法】 ・東証のCD-ROM「TOPIXβ VALUE」 ・会社四季報CD-ROM版 A自分で計算する ベータ値はエクセルがあれば自分でも計算できます。計算方法は以下のとおりです。 1)自社株式とトピックスの終値データを用意します。いずれもヤフーファイナスで入手できます。期間および表示間隔(日次、週次、月次)および期間は任意です。事例では2006年7月から2007年7月までの13ヶ月分の月次データを使用します。(12ヶ月分の月次の変動率を出すため13ヶ月の月次データを用意します。) 2)データをエクセルに入力します。 3)自社株式とTOPXの月次変動率を計算します。計算方法は以下のとおりです。値は%ではなく実数で表示してください。計算式は以下のとおりです。 (前月の終値)/(当月の終値)−1 事例ではD3セルに 「=B3/B2-1」、E3セルに「=C3/C2-1」を入力し、14行目までコピーします。 4)LINEST関数を使って、変動率の傾きを計算します。これが自社株式のTOPIXに対するベータ値になります。計算式は以下のとおりです。 LINEST(自社変動率1番目:自社変動率n番目, TOPIX変動率1番目:TOPIX変動率n番目) 事例では任意のセルに以下の式を入力します。 =LINEST(D3:D14,E3:E14) これで自社株式のベータ値が計算できました。 ・リスクフリーレート:1.5% ・自社株式のベータ値:1.6 ・株式市場全体の期待収益率:6.0% とすれば、株主資本コスト(株式の期待収益率)は以下のようになります。 株主資本コスト(株式の期待収益率)= 1.5%+1.6×(6.0%−1.5%)=8.7% |
WACC= |
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30億 | |||
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× | ●4.5%×(1−0.4) | |
30億+100億 | |||
100億 | |||
+ |
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× | ●8.7% |
30億+100億 | |||
= | 7.3% |